業務効率化

受発注システムとは|BtoB物販の発注・仕入・在庫連動を止めない仕組み

販売HUB編集部(BtoB販売管理SaaS実務チーム)
2026年6月12日20分で読める

受発注システムとは、注文を「受ける」受注業務と、仕入を「発注する」発注業務の両方を一体で扱い、在庫を介して売りと買いをつなぐ仕組みです。結論として、BtoB物販(卸・商社・メーカー)が選ぶべきは「受注または発注の片方だけを効率化する単機能ツール」ではなく、受発注→在庫→請求を1つのデータでつなぐ販売管理一体型です。なぜなら、受注(売り側)と発注・仕入(買い側)と在庫は密接につながっており、片方だけを電子化しても在庫ズレや転記作業は残るからです。

「受発注システム」を調べると受注管理ツールと発注管理ツールが入り混じり、自社に必要なのはどちらか分かりにくいと感じる方は多いはずです。本記事では、受発注システムを受注管理との違いから整理し、発注・仕入・在庫連動まで止めずに扱うための選び方を、従業員20〜100名規模のBtoB物販の実務に即して解説します。

受発注システムとは?「受注管理」との違いを整理

受発注システムとは、得意先からの注文を受ける「受注」と、仕入先へ注文を出す「発注・仕入」の両方を1つの仕組みで管理し、在庫データを介して双方を連動させるシステムです。受注管理だけを扱うツール、発注管理だけを扱うツールと混同されやすいため、まず似た言葉の違いを整理します。

用語対象業務主な利用者カバー範囲
受注管理注文を「受ける」業務(売り側)営業・販売部門受注のみ
発注管理仕入を「発注する」業務(買い側)仕入・調達部門発注のみ
受発注システム受注・発注の両方を扱う物販企業全般受注+発注+在庫連動

受注管理だけでは仕入や在庫補充が手作業のまま残り、発注管理だけでは販売側とつながりません。受発注を一体で扱うことで、売りと買いが在庫を介してつながります。たとえば卸・商社では「得意先から受けた注文量」と「仕入先へ出す発注量」が在庫を挟んで連動するため、受注だけ電子化しても発注タイミングは依然として担当者の勘に頼ることになります。受発注を一体化して初めて、注文と仕入と在庫が同じ数字で動く状態になります。

受発注システムと受注管理の違い

BtoB受発注で起きる4つの非効率

受発注を仕組み化できていないBtoB物販企業では、次の4つの非効率が起きがちです。いずれも受注・発注・在庫が別々に管理されていることが根本原因で、規模が大きくなるほど影響が広がります。

  • FAX・メール・電話での発注: 得意先からの注文や仕入先への発注を、受け取るたびに販売管理や在庫表へ手作業で転記する必要がある
  • 転記によるミス: 数量・単価・納期の入力ミスが、そのまま在庫数や請求金額に波及し、後工程で発覚すると修正に手間がかかる
  • 在庫ズレ: 受注・発注が在庫に即時反映されず、帳簿在庫と実在庫が食い違い、欠品や過剰在庫が起きる
  • 納期遅延: 仕入のタイミングや入荷予定が可視化されず、欠品への対応が後手になり、得意先への納期回答も曖昧になる

特に取扱品目が数百〜数千SKUに及ぶ卸・商社では、転記1件あたりは小さくても件数が積み上がり、受発注業務が「人を増やさないと回らない」状態に陥りやすくなります。これらはツール導入で個別に潰すのではなく、受注・発注・在庫を同じデータでつなぐことで構造的に解消するのが定石です。

BtoB受発注の4つの非効率

受発注システムの選び方4要件

中小BtoB物販が受発注システムを選ぶときに確認すべき要件は、次の4つです。早見表で先に全体像を示し、続いて各要件を詳しく解説します。

要件確認ポイント満たさないと起きる問題
受注と発注を1画面で売りと買いを同じ仕組みで扱えるか突合・転記が残る
在庫引当の自動連動受注で引当・発注で入庫が自動反映されるか在庫ズレ・欠品
取引先別の単価・掛率管理取引先マスタで条件を管理できるか請求金額の誤り
請求までの連動出荷データから請求が自動生成されるか締め作業の長期化

受注と発注を1画面で扱えるか

受発注システムを選ぶ第一の出発点は、受注と発注を1つの仕組みで把握できるかです。受注と発注を別々の画面・別システムで扱うと、両者を突き合わせる作業や、片方からもう片方への転記が発生します。売りと買いを同一画面・同一データで見られると、たとえば「この得意先からの大口受注に対し、いつ・どの仕入先へ発注すべきか」を1つの流れで判断できます。

在庫引当の自動連動があるか

第二の要件は、在庫との自動連動です。受注した瞬間に在庫が引き当てられ、在庫が一定数を切ったら発注を促す——こうした連動があると、欠品・過剰在庫を防げます。連動がないと、受注のたびに在庫表を手で更新することになり、更新漏れがそのまま在庫ズレになります。卸・商社のように1日の受注件数が多い現場ほど、この自動連動の有無が在庫精度を左右します。

取引先別の単価・掛率を管理できるか

第三の要件は、取引先別の条件管理です。BtoB取引では、取引先ごとに単価や掛率、締め支払い条件が異なります。たとえば同じ商品でもA社とB社で卸単価が違い、締め日も「20日締め翌月末払い」と「月末締め翌々月10日払い」のように分かれるのが一般的です。これらを取引先マスタで管理できるかは、卸・商社にとって必須要件です。

請求まで連動するか

第四の要件は、請求への連動です。受発注の先には請求があります。出荷データから請求が自動生成されれば、締め作業と請求漏れを同時に減らせます。受発注と請求が分断されていると、月末に出荷実績を集計し直して請求書を作る二度手間が残り、件数が多いほど締め日前後の業務負荷が跳ね上がります。

受発注システムの選び方4要件

受発注を含む販売管理システムの比較早見表

受発注を単機能ツールで賄うか、受注・発注・在庫・請求を一体で扱う販売管理システムで賄うかを判断するため、代表的なクラウド製品を横断で整理します。料金・在庫対応・規模適性で比較すると、自社に合う方向性が見えます。なお、在庫管理機能の有無は各社の公開情報に基づき、確認できない場合は「断定しない」表現にしています(2026年5月時点)。

製品初期費用月額の目安在庫管理規模適性
販売HUB0円4,980円〜標準搭載20〜100名の中小物販
楽楽販売200,000円70,000円〜公式機能一覧に記載を確認できず中堅〜大規模
freee販売0円〜約5,000円(3名)〜公式機能一覧に記載を確認できず会計連携重視の事業者
弥生販売2650,000円〜保守年額別途プロフェッショナル以上で対応デスクトップ運用の事業者
商蔵奉行クラウド0〜70,000円iE 13,000円/iA 27,500円標準で在庫・棚卸に対応中小〜中堅

価格はユーザー数や契約条件で変動するため、最終的には各社の最新情報を確認してください。受発注に在庫連動・請求連動まで求めるなら、在庫を標準搭載し低価格で始められる一体型が、20〜100名規模のBtoB物販には現実的な選択肢になります。

受発注→在庫→請求の一気通貫がもたらす効果

受発注システムの効果を最大化する鍵は、受発注を単体で効率化するのではなく、受発注→在庫→請求を1つのデータでつなげることです。これにより、各業務の効率化を足し合わせた以上の効果が生まれます。

受注を登録すると在庫が引き当てられ、在庫が減れば発注を促し、出荷すれば請求が生成される。この流れが1つのシステムで完結すると、転記と突合の作業がほぼなくなります。

具体的には、二重入力の削減、在庫精度の向上、締め作業の短縮、そして在庫・売上・仕入が1か所に集まることによる経営判断の高速化につながります。BtoB物販では、この一気通貫こそが受発注を仕組み化する本来の狙いです。

たとえば、これまでFAXで受けた注文を販売管理に転記し、在庫を別表で確認し、月末に請求書をまとめて作っていた業務が、受注を一度登録するだけで在庫引当から請求生成まで自動で流れるようになります。担当者は転記と突合から解放され、取引先対応や提案といった付加価値の高い仕事に時間を割けます。受発注の効率化は、単なる時短ではなく、人手をどこに使うかという経営判断の問題でもあります。

よくある質問

Q. 受発注システムと受注管理システムの違いは何ですか? 受注管理は注文を受ける売り側の業務に特化していますが、受発注システムは発注・仕入まで含めて売りと買いの両方を扱います。在庫を介して受注と発注をつなげられる点が、両者の最大の違いです。

Q. FAXやメールでの発注を受発注システムに置き換えられますか? はい。受発注システムを使えばWeb上で発注・受注を完結でき、手作業の転記とそれに伴うミスを減らせます。取引先によってはFAX運用が続く場合もあるため、自社内の転記を先に電子化し、取引先の運用に合わせて段階的に切り替えるのが現実的です。

Q. 受発注システムは在庫と自動で連動しますか? 在庫連動に対応した製品なら、受注で在庫が引き当てられ、発注・入庫で在庫が増えるといった自動連動が可能です。ただし対応範囲は製品により異なるため、受注時の引当と入庫時の更新の両方に対応するかを選定時に確認しましょう。

Q. 取引先ごとに違う単価や掛率を管理できますか? 取引先別の単価・掛率管理に対応した製品なら可能です。BtoB卸・商社では取引先ごとに条件が異なるのが一般的で、必須の機能と言えるため、取引先マスタで単価・掛率・締め支払い条件まで管理できるかを確認することをおすすめします。

Q. 受発注システムだけを単独で導入すべきですか、販売管理システムにまとめるべきですか? 受注・発注に加えて在庫や請求まで分断をなくしたいなら、販売管理システムにまとめる方が転記と突合を構造的に減らせます。受発注だけを単機能ツールで電子化すると、在庫表や請求書への再入力が残りやすい点に注意が必要です。自社のどこに分断があるかを起点に判断しましょう。

まとめ|受発注は在庫・請求とセットで考える

受発注システムは、受注または発注の片方だけを効率化しても効果が限定的です。BtoB物販なら、受発注を在庫・請求とセットで一気通貫に扱える仕組みを選ぶことで、FAX発注・転記・在庫ズレ・納期遅延をまとめて解消できます。自社の売りと買いがどこで分断されているかから逆算して選びましょう。


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