返品処理の業務フロー|赤伝・在庫戻し・締め請求の実務
BtoBの返品処理は、元の受注・出荷・請求を特定し、赤伝、在庫の処置、締め請求への反映、返還インボイスの要否を整合させて進めます。返品された商品だけを在庫へ戻すと、元売上や請求が残り、反対に請求だけを減額すると在庫の所在が合わなくなります。元取引を共通の起点にすることが必要です。
対象は、卸・商社・メーカーが行うBtoB物販の返品です。一般消費者向けECの返品・返金フローとは、検品、請求、インボイス、入金の関係が異なります。元取引の特定、検品と在庫処置、赤伝・請求・返金の確認という3ステップで、担当部門の処理を一つにつなぎます。
BtoBの返品処理と赤伝の基本

返品・交換・値引き・赤伝の違い
返品は納品した商品を受け戻す処理、交換は返品した商品に代わる商品を再納品する処理、値引きは商品を戻さず販売額を減らす処理です。赤伝は、元売上の全部または一部を減額・取消するためのマイナス伝票として使われる実務上の呼称です。目的を混同しません。
交換では返品側と再出荷側の二つの動きを、値引きでは商品の所在を変えず請求額だけを確認します。赤伝には元の受注・売上・請求の識別子、返品数量、単価、理由、処理日を関連付けます。締め請求への反映方法は締め請求と支払サイトの管理で定めた訂正ルールと一致させます。
返品処理で照合する元データ早見表

返品を受け付けたら、得意先、商品、数量、返品理由だけでなく、元の受注番号、出荷記録、売上、請求書を特定します。どの取引の返品かが決まる前に赤伝や在庫戻しを行いません。受付番号を発行し、後続の検品・訂正で共通利用します。
| 受付 | 元伝票 | 検品 | 在庫処置 | 赤伝 | 請求 | 返還インボイス | 担当者 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 受付番号、理由、数量 | 受注・出荷・売上・請求 | 商品、数量、状態 | 再販可・保留・廃棄・仕入先返品 | 元売上と減額内容 | 請求前・締め済み・入金済み | 原則・少額免除を判定 | 受付・検品・販売管理・経理 |
担当者は自分の工程だけを完了にせず、次の担当と未処理項目を記録します。元伝票の数量と返品受付数量、検品数量、赤伝数量が一致するかを確認します。差異がある場合は理由と判断者を残し、数字だけを合わせません。工程ごとの完了日も受付番号にひも付けます。
返品処理を進める3ステップ

返品理由を受け付けて元取引を特定する
返品受付では、得意先、商品、数量、理由、受付日、返送方法を記録します。受注番号、出荷記録、納品先、請求書番号を照合し、元の販売価格と請求状況を確定します。商品名だけで検索して別の取引へ結び付けないようにします。
返品理由は、商品違い、数量違い、破損、顧客都合など自社の区分で統一します。理由によって送料負担、交換、仕入先への連絡が変わる場合は、受付時に判断者へ回します。仕入先へ戻す可能性がある商品は、仕入管理の実務で使う発注番号も関連付けます。回答期限も受付時に決めます。
検品して在庫の処置を決める
返送品を受け取ったら、商品コード、数量、外観、開封状態、付属品、再販可否を確認します。検品前に良品在庫へ戻すと、販売できない商品が引当候補や在庫数に混ざるため、受付中または保留として区別します。検品者と判断日を記録します。
処置は再販可能、保留、廃棄、仕入先返品などに分け、理由と承認者を残します。単品在庫へ戻す場合は検品済み数量だけを反映し、返品受付数量をそのまま加えません。在庫管理の選定観点は在庫管理システムの選び方も確認材料になります。
赤伝と請求・返金への反映を確認する
検品と返品受入が確定したら、元売上に対応する赤伝を作成し、返品数量、単価、減額額を照合します。請求前なら請求対象を訂正し、締め済みなら確定済み請求との関係を残して訂正方法を決めます。入金済みなら返金・次回相殺など合意した処理を記録します。
赤伝、請求訂正、返金の担当者が異なる場合も、同じ返品受付番号で進捗を追います。処理金額だけでなく、元請求、処理日、判断者、得意先への連絡を残します。自動処理を前提にせず、各工程の完了を販売管理担当が照合します。
返還インボイスを判断する要点

返品・値引き時の返還インボイスの基本
インボイス発行事業者が国内で行った課税資産の譲渡等について、返品や値引き、割戻しなどの売上げに係る対価の返還等を行った場合は、原則として返還インボイスの交付義務があります。返品という名称だけで判断せず、元取引と減額内容を特定します。交換だけで減額がない処理とは分けます。
返還インボイスの要否を確認する際は、元の請求書、対象商品、返還等の金額、処理日を返品受付番号へ関連付けます。既存のインボイス対応全体は販売管理システムのインボイス・電帳法対応も確認材料になります。出典: 国税庁「少額な返還インボイスの交付義務免除の概要」(https://www.nta.go.jp/publication/pamph/shohi/kaisei/202304/03.htm・取得日 2026-08-15)
税込1万円未満の交付義務免除と記録
売上げに係る対価の返還等の金額が税込1万円未満である場合、返還インボイスの交付義務は免除されます。税込1万円以下ではなく、1万円ちょうどは「未満」に含まれません。この取扱いは、令和5年10月1日以降の課税資産の譲渡等について行う返還等に適用されます。
交付義務の免除は、返品処理、赤伝、請求訂正、社内記録まで不要にするものではありません。免除を適用した場合も、元取引、返品・値引きの内容、金額、判断結果を記録します。国税庁資料では適用期限や適用対象者について特段の制限はないとされています。
返品漏れ・二重処理を防ぐ管理方法

在庫処置と請求段階を二軸で判定する
返品処理は、商品の在庫処置と請求段階を別々に判定します。再販可能でも請求訂正が未完了なら返品全体は完了ではなく、赤伝が済んでも検品保留なら良品在庫へ戻せません。二軸の組み合わせで次の担当を決めます。
| 在庫処置 | 請求前 | 締め済み | 入金済み | 必要な訂正 | 証跡 |
|---|---|---|---|---|---|
| 再販可能 | 検品済み数量を在庫へ反映 | 赤伝と請求訂正を確認 | 返金・相殺等の合意を記録 | 在庫・売上・請求 | 検品記録、元伝票、連絡記録 |
| 保留 | 良品在庫へ戻さない | 請求処理と保留理由を分ける | 金額処理と商品処置を分ける | 売上・請求、保留状態 | 写真、検品記録、判断者 |
| 廃棄・仕入先返品 | 在庫へ戻さない | 赤伝と仕入先処理を確認 | 返金等と仕入処理を照合 | 売上・請求・仕入 | 承認記録、仕入先連絡、元伝票 |
この表は顧客調査の集計ではなく、在庫処置と請求段階を組み合わせた独自編集フレームです。処理方法は自社の取引条件と社内規程に沿って記入し、表の文言だけで返金方法を決めません。受付番号、担当者、期限を持ち、両軸が完了するまで追います。
元受注・請求・在庫を同じ識別子で追う
返品受付番号を共通キーにして、元受注、出荷、売上、請求、入金、在庫処置を関連付けます。卸・商社の商流で納品先と請求先が異なる場合も、元の取引構造を商社・卸の販売管理システムと同じ単位で追います。別台帳への転記を減らします。
販売HUBには受注管理、請求管理、売上管理、シンプルな単品在庫、入金管理・消込、カスタム項目、監査ログがあります。返品理由や検品結果はカスタム項目で記録できますが、返品専用機能、赤伝自動生成、在庫自動戻し、返金自動処理はありません。出典: 販売HUB公式サイト(https://hanbai-hub.com/・取得日 2026-08-15)
返品処理に関するFAQ
赤伝とは何ですか?
赤伝は、元の売上の全部または一部を減額・取消するために使うマイナス伝票の実務上の呼称です。返品、値引き、数量訂正など、元伝票の金額を減らす場面で利用されます。元の受注・売上・請求を特定して作成します。
赤伝だけを作って返品処理を完了にせず、商品を受け戻した場合は検品と在庫処置も確認します。請求前、締め済み、入金済みのどの段階かによって後続処理が変わります。返品受付番号、元伝票、理由、数量、単価、処理日、担当者を残します。得意先への連絡内容も同じ記録へ加えます。
返品では返還インボイスが必ず必要?
インボイス発行事業者が国内で行った課税資産の譲渡等について売上げに係る対価の返還等を行う場合、原則として返還インボイスの交付義務があります。ただし、その金額が税込1万円未満なら交付義務は免除されます。1万円以下という条件ではありません。
免除の判定には元取引と返還等の金額を確認し、判断結果を記録します。交付義務が免除されても、返品受付、赤伝、請求訂正、在庫処置が不要になるわけではありません。元伝票と処理内容を同じ識別子で追います。
返品された商品はすぐ在庫へ戻してよい?
返品された商品は、検品前に良品在庫へ戻しません。商品コード、数量、破損、開封状態、付属品を確認し、再販可能、保留、廃棄、仕入先返品などの処置を決めます。受付数量と検品済み数量を分けて記録します。
再販可能と判断した数量だけを在庫へ反映し、判断者と検品日を残します。保留品は良品在庫と区別し、次の確認担当と期限を設定します。在庫を戻した後も、赤伝と請求訂正が完了したかを返品受付番号で確認します。保管場所と仮置き区分も記録し、処置前の混在を防ぎます。
まとめ|元取引・在庫・請求を一緒に訂正する
BtoBの返品処理は、元受注・出荷・請求を特定し、検品、在庫処置、赤伝、請求訂正、返還インボイスの判断を同じ受付番号で追います。在庫処置と請求段階を二軸で判定し、片方だけの完了を防ぐことが重要です。
返還等の金額が税込1万円未満なら返還インボイスの交付義務は免除されますが、返品処理と記録は残します。販売HUBでは受注・請求・在庫・入金を一体参照し、自動化されていない返品処理は担当者と確認期限を運用で補ってください。
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